ペルー・クスコ・ケチュア語の文法をわかりやすく理解する為、
動詞の変化と助詞を一覧にしてみました。
インカ帝国の公用語であったクスコ・ケチュア語は、
スペイン語とは文法が似ておらず、
どちらかという日本語に文の構成が似ています。
難しいところといえば、スペイン語と同じで、
動詞の人称変化がたくさんあるからです。
これがわかれば、あとは単語を覚えていって、
文を組み立てる練習をして、慣れていけば良いという感じです。
動詞
現在形 人称変化 (動詞の語尾 y を取る) ~です、~ます
Noqa (私) ~ni
Qan (あなた) ~nki
Pay (彼/彼女) ~n
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~nchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~yku
Qankuna (あなたたち) ~nkichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~nku
[例]
Noqa takini. (ノカ・タキニ) 私は、歌います。
takiy (タキイ) というのが「歌う」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
過去形 人称変化 ra ~でした、~ました
Noqa (私) ~rani
Qan (あなた) ~ranki
Pay (彼/彼女) ~ran
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~ranchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~rayku
Qankuna (あなたたち) ~rankichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~ranku
[例]
Paykuna riranku. (パイクーナ・リランク) 彼らは、行きました。
riy (リイ) というのが「行く」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
未来形 人称変化 ~でしょう、~ます
Noqa (私) ~saq
Qan (あなた) ~nki
Pay (彼/彼女) ~nqa
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~sunchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~saqku
Qankuna (あなたたち) ~nkichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~nqaku
[例]
Qan leenki. (カン・レエンキ) あなたは、読みます。
leey (レエイ) というのが「読む」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
ただ leey (レエイ) は、スペイン語の leer (レエル) が
クスコ・ケチュア語になった現代ケチュア語です。
現在進行形 sha ~しています
Noqa (私) ~shani
Qan (あなた) ~shanki
Pay (彼/彼女) ~shan
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~shanchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~shayku
Qankuna (あなたたち) ~shankichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~shanku
[例]
Noqanchis purishanchis. (ノカンチス・プリシャンチス)
私たち[あなたを含む]は、歩いています。
puriy (プリイ) というのが「歩く」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
過去進行形 shara ~していました
Noqa (私) ~sharani
Qan (あなた) ~sharanki
Pay (彼/彼女) ~sharan
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~sharanchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~sharayku
Qankuna (あなたたち) ~sharankichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~sharanku
[例]
Pay estudiasharan. (パイ・エストゥディアシャラン) 彼女は、勉強をしていました。
estudiay (エストゥディアイ) というのが「勉強する」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
ただ estudiay (エストゥディアイ) は、スペイン語の estudiar (エストゥディアール) が
クスコ・ケチュア語になった現代ケチュア語です。
未来進行形 sha + 未来 ~しているでしょう
Noqa (私) ~shasaq
Qan (あなた) ~shanki
Pay (彼/彼女) ~shanqa
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~shasunchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~shasaqku
Qankuna (あなたたち) ~shankichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~shanqaku
[例]
Noqa llank’ashasaq (ノカ・ジャンッカシャサック) 私は、働いているでしょう。
llank’ay (ジャンッカイ) というのが「働く」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
k’ や q は、のどに物が詰まった時のように発音します。
現在義務形 na ~しなければならない
Noqa (私) ~nay
Qan (あなた) ~nayki
Pay (彼/彼女) ~nan
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~nanchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~nayku
Qankuna (あなたたち) ~naykichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~nanku
[例]
Qan puñunayki. (カン・プニュナンキ) あなたは、寝なければなりません。
puñuy (プニュイ) というのが「寝る」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Noqa (私) ~nay、Qan (あなた) ~nayki、Qankuna (あなたたち) ~naykichis は、
不規則変化です。
過去義務形 karan ~しなければならなかった
Noqa (私) ~naykaran
Qan (あなた) ~naykikaran
Pay (彼/彼女) ~nankaran
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~nanchiskaran
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~naykukaran
Qankuna (あなたたち) ~naykichiskaran
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~nankukaran
[例]
Noqayku yachanaykukaran (ノカイク・ヤチャナイクカラン)
私たち [あなたを含まない] は、知らなければなりませんでした。
yachay (ヤチャチイ) というのが「知る、学ぶ」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
希望、願望 ~ta muna ~がほしい、~がしたい
Noqa (私) ~ta munani
Qan (あなた) ~ta munanki
Pay (彼/彼女) ~ta munan
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~ta munanchis
Noqayku (私たち[あなたを含まない]) ~ta munayku
Qankuna (あなたたち) ~ta munankichis
Paykuna (彼ら/彼女ら) ~ta munanku
[例]
(目的語) がほしい
Noqa celularta munani. (ノカ・セルラールタ・ムナニ) 私は、携帯電話が欲しいです。
ただ celular (セルラール) は、スペイン語そのままの単語が
クスコ・ケチュア語になった現代ケチュア語です。
(動詞) がしたい
Paykuna unuta ukyayta munanku (パイクーナ・ウヌタ・ウクヤイタ・ムナンク)
彼らは、水が飲みたいです。
ukyay (ウクヤイ) というのが「飲む」という動詞の原形です。
動詞の原形のまま使用します。
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助詞
~を ~ta
[例]
Pay runtuta rantin (パイ・ウヌタ・ルントゥタ・ランティン)
彼は、卵を買います。
rantiy (ランティイ) というのが「買う」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
runtu (ルントゥ) が「卵」です。
(誰々)と、(物)で、~によって ~wan
[例]
(誰々)と
Pay Jorgewan hamun (パイ・ホルヘワン・ハムン) 彼女は、ホルヘと来ます。
hamuy (ハムイ) というのが「来る」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
(物)で、~によって
Noqa mankawan wayk’uni (ノカ・マンカワン・ワイックニ) 私は、鍋で料理します。
wayk’uy (ワイックイ) というのが「料理する」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
k’ は、のどに物が詰まった時のように発音します。
~で、~に ~pi
[例]
Qosqopichu tiyanki? (コスコピチュ・ティヤンキ?) クスコに住んでいますか?
tiyauy (ティヤイ) というのが「住む」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
chu (チュ) は、この場合、疑問形なので、付きます。
日本語で質問する際に文章の語尾に付く「~か?」と同じようなイメージです。
~のために ~paq
[例]
Tukuy noqapaq karan. (トゥクイ・ノカパック・カラン)
全て私のためでした。
Tukuy (トゥクイ) は、「全て」という意味の形容詞です。
kay (カイ) というのが「です、いる」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Pay (彼/彼女) ~ran は、過去形です。
~するために 義務系 + paq
[例]
Runasimipi rimasunchis, yachanaykipaq. (ルナシミピ・リマスンチス・ヤチャナイキパック)
あなたがケチュア語を学ぶ為に、ケチュア語で話しましょう。
Runasimi (ルナシミ) は、ケチュア語という意味です。
rimay (リマイ) というのが「話す」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Noqanchis (私たち[あなたを含む]) ~sunchis は、未来形です。
~pi は、「~で」という意味です。
yachay (ヤチャチイ) というのが「知る、学ぶ」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Qan (あなた) ~nayki は、義務系です。
~の (誰かの、何かの)〔名詞の後〕 ~q
[例]
Pay noqaq pañapi kashan. (パイ・ノカック・パニャピ・カシャン)
彼女は私の右にいます。
~q pañapi~ (~ック・パニャピ~) は、「~の右に、」です。
kay (カイ) というのが「です、います」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Be 動詞にあたります。
q は、のどに物が詰まった時のように発音します。
~人、~者 (その動作をする人)〔動詞の後〕 ~q
[例]
Yachachiq manan hamunqachu. (ヤチャチック・マナン・ハムンカチュ)
先生は来ません。
yachachiy (ヤチャチイ) というのが「教える」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除き、q を足します。
すると、「教える人」、つまり、「先生」になります。
hamuy (ハムイ) というのが「来る」という動詞の原形で、
人称変化をする際に、語尾の y を除きます。
Pay (彼/彼女) ~nqa は、未来形です。
manan ~chu (マナン・~チュ) は、否定形です。
~を持っている (所有) ~yoq
[例]
Noqa wasiyoq kani. (ノカ・ワシヨック・カニ)
私は、家があります。
(複数形) ~kuna
[例]
Paykuna wawayoq kanku. (パイクーナ・ワワヨック・カンク)
彼らは、赤ちゃんがいます。
wawa (ワワ) は、赤ちゃんです。
~君、~ちゃん ~cha
[例]
Pay alqochayoq kan. (パイ・アルコチャヨック・カニ)
彼女は、ワンチャンを持っています。
alqo (アルコ) は、犬です。
まとめ
クスコ・ケチュア語にも動詞の変化があるのが難しいところです。
日本語と全て全く同じ文法というわけではないところも難しいところですが、
スペイン語よりかは、日本語とケチュア語は似ているのが良いと思います。
取り上げていない文法もまだまだありますが、
今回取り上げた文法がわかるようになれば、きっと話せる様になると思います。
それでは、また次の機会まで! Hoq p’unchaykama (ホック・プンチャイカマ)
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