日本のニュースで、よく聞くエルニーニョ現象とはいったい何なのでしょうか?
そして、もう一つのラニーニャ現象というのは、エルニーニョ現象を理解すると
よく理解できるのです。
エルニーニョ現象もラニーニャ現象もペルーの沖合いでの太平洋の気圧が
関係している現象ですが、日本の農業にも大きな影響を与えるのです。
エルニーニョ現象とエルニーニョ
まずエルニーニョ現象とエルニーニョは、ちがうのです。
どういう意味でしょうか?
まずエルニーニョは、毎年ペルー沖合いで一度は起こる現象です。
ただエルニーニョ現象になると、日本にも、悪い影響を及ぼすのです。
エルニーニョとは?
まずエルニーニョは、先に述べたように、ペルー沖合いで
一年に一回、毎年起きる現象のことです。
毎年クリスマスの時期の12月末になると、
カタクチイワシ (Anchoveta peruana) がいなくなります。
そして、3月頃にまた、カタクチイワシ (Anchoveta peruana) が戻ってくる
という期間、つまり、この季節の現象のことを、
ペルーの猟師さんたちは、el niño エル・ニーニョと呼んでいるのです。
ちなみに、el niño エル・ニーニョとは、スペイン語で、男の子という意味です。
el エルとは、男性名詞に付く冠詞で、日本語には存在しません。
英語でいうところの the ザのようなイメージの男性名詞バージョンの冠詞です。
そして、ニーニョ niño という単語が男の子という意味です。
ただ単に男の子と言っているわけではなく、カトリック教がメインのペルーという国は、
クリスマスは、イエス・キリストが誕生した日だと信じています。
なので、イエス・キリストの生誕の信仰にちなんで、クリスマスの時期に起こるこの現象を
男の子 (神の子) の生まれた時期に起きる現象、
el niño エル・ニーニョと呼ぶようになったのです。
カタクチイワシ (Anchoveta peruana) がいなくなる理由
なぜカタクチイワシ (Anchoveta peruana) がいなくなってしまうのか?
というのが、エルニーニョ現象を理解する鍵です。
3月から12月にかけて、例年カタクチイワシ (Anchoveta peruana) が
たくさんとれるのですが、それにはわけがあります。
ペルー沖合いの深海から低温の海水が湧き上がる
湧昇流 (ゆうしょうりゅう: upwelling) という現象があります。
そのため、ペルー沖合いには、たくさんのプランクトンがいます。
そのプランクトンを食べに、カタクチイワシ (Anchoveta peruana) が
集まってくるので、ペルーは、カタクチイワシ (Anchoveta peruana) の
良い漁場なのです。
湧昇流 (ゆうしょうりゅう: upwelling) を理解する鍵
なぜ湧昇流 (ゆうしょうりゅう: upwelling) という現象が起こるのか?
という疑問を、理解する鍵は、貿易風です。
ペルー沖合いで、暖められた海水が、貿易風が起こす海流によって、
ペルー沖合い、つまり、太平洋 pacific ocean の東側から西側に流されます。
海面付近の海水が西に流されることにより、海水が太平洋の中で循環し、
今度は、深海の海水が西側から東側に流されます。
そして、南米大陸のペルーでその深海からの海水が上昇し、湧昇流になるわけです。
しかし、12月末ごろ、クリスマスの時期になると、貿易風が弱まり、
貿易風が起こす海流も弱まって、結果、湧昇流も弱まり、
プランクトンが少なくなって、カタクチイワシ (Anchoveta peruana) がいなくなるのです。
この現象のことをエルニーニョというのです。
エルニーニョ現象とは?
エルニーニョ現象とは、エルニーニョが3月頃に終わらず、
そのまま続いてしまう状態のことを言います。
貿易風が弱いため、湧昇流が起きないのです。
そのため、まずペルーでは、カタクチイワシがとれず、漁場に大きな被害がでます。
貿易風が弱いままの状態が続くと、海面水温が下がらないため、湧昇流も起きません。
このようにエルニーニョが年中続く状態を、エルニーニョ現象といいます。
貿易風が起こる理由として、通常は、
太平洋東側ペルーの沖合いの海面の温度が低く、気圧が高い一方、
太平洋西側のインドネシア沖合いの海面の温度が高く、気圧が低い為、
気圧が高い太平洋東側ペルーの沖合いから気圧が低い太平洋西側のインドネシア沖合いに
強い貿易風が吹くのです。
エルニーニョ現象とは、その通常の現象が起こらず、逆に
ペルーの沖合いの海水の温度が高く、気圧が低いため、貿易風は弱くなります。
地球の循環が狂うと、季節が狂い、私たち人間の生活に大きな影響がでてしまうというわけです。
エルニーニョ現象とは、つまり、太平洋赤道地域で、
東側と西側への貿易風と海流の循環が狂ってしまっている際の現象なのです。
日本に与える影響は?
エルニーニョ現象が発生すると、貿易風が弱い為、東側からの海流が弱く、
太平洋の西側、インドネシア沖合いだけでなく、さらに東側の広い部分まで、
海水の温度が高い状態が続きます。
その際、インドネシア沖合いの積乱雲が発生する場所が東にずれ、
日本の太平洋高気圧もつられて、東にずれてしまうのです。
そうすると、日本は、冷夏になってしまうのです。
東日本で、例年の夏の平均気温より、0.5度低いだけで、冷夏というのです。
冷夏になると、日本の農業、つまり作物に、被害を出します。
そして、品薄で、物価が高騰するという二次災害も起きます。
逆に、冬は、暖冬になります。
さらに、梅雨入りと梅雨明けが遅くなります。
日本以外に与える影響は?
エルニーニョ現象の際、ペルーの漁業、日本の農業に大きな被害を出しますが、
それだけではなく、世界各地の季節、天候にも大きな影響を出すのです。
まずペルーの海岸付近で一切雨が降らない砂漠地帯に雨が降ります。
世界遺産のナスカの地上絵、チャンチャン遺跡などが消滅してしまう危険があるのです。
エルニーニョ現象が世界各地の季節、天候に大きな影響を出す現象のことを
テレコネクションといいます。
たとえば、日本が冷夏になっている際、
ヨーロッパ北西部、インド、アフリカのサハラ砂漠の南の地域の気温は上がり、乾燥します。
そして、日本が暖冬になっている間、
東南アジア、インド南部、アフリカ南部、オーストラリア北部などでも温暖な状態が続きます。
ラニーニャ現象とは?
ラニーニャ現象は、簡単に言うとエルニーニョ現象の逆です。
ラ・ニーニャ la niña とは、スペイン語で、女の子という意味があります。
エルニーニョ現象の真逆の事が起こるので、男の子の反対、女の子と名づけられた様です。
通常の太平洋の循環が逆になろうとする際に起きます。
太平洋赤道の両端では、
南方振動という東部と西部の気圧が逆になる現象が常に起きています。
つまり、太平洋の東側ペルー沖合いでは通常より気圧が上がり、
太平洋の西側の沖合いでは通常より気圧は下がるのです。
ラニーニャ現象が起こっても、世界各地で被害を出します。
日本では、梅雨入りと梅雨明けが早まります。
さらに、夏は猛暑、冬は極寒になります。
まとめ
日本でもペルーでの、季節が壊れてきてしまっています。
エルニーニョ現象やラニーニャ現象は、その根源の一つと言っても良いでしょう。
エルニーニョ現象が
ペルーで起きる際は、ペルーの海岸地帯で、豪雨、浸水、土石流などの被害を出しますし、
日本でも冷夏になり、物価が高騰します。
ただ人間にはどうすることもできませんので、生き抜いていくしかないですね。
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